0115話:2017年05月05日

5月5日こどもの日ということなんですけれども、元々、節句なんですよね。五節句の一つというかですね。

1月1日は正月。2月2日がなくて、3月3日。4月4日がなくて、5月5日。6月6日がなくて、7月7日の七夕。8月8日がなくて、9月9日。これは重陽の節句と言います。要するに、奇数ですね、奇数で取った節句という捉え方がありまして、これは中国から来たものですね。2000年以上の歴史の中で日本に伝わってきた中身です。

元々、5月5日は、こどもの日ということに今はなっていますけれども、どっちかと言うと、男の子の端午の節句というか、男の子中心のお祭りというか、節句になったわけですね。ですから、兜や鯉のぼりがあったりします。これは武家の社会となって、そういうものがだんだん江戸時代から広まったんですけれども、言ってみれば、元々は女の子も男の子も3月3日のひな祭りの方が、こどもの日という感じだったんですけれども、だんだん5月5日を男の子の方にしていった感じではないのかと。今はまた男の子も女の子も、特に男の子の節句の方がこどもの日となった。

◇子どもの一人立ちまでは、しっかり親が育てるという柏の葉の教え

例えば、鯉のぼりも元々は農耕儀礼の雨乞いですね。田植えをした後で雨が降らないと、苗が生育しないので、水の中を鯉が泳いでいる姿を連想させるのですね。こういう意味があって、鯉のぼりになっているわけですね。今は、理想的なお父さん、お母さん、子どもが家族と一緒に楽しく暮らすという意味が加されていますけれどもね。変化するわけですね。

今日も柏餅を献饌しましたけれども、柏餅というのは柏の葉っぱに丸い白いお餅を包んでいますね。なんで柏の葉っぱでなければいけないかというと、どちらかと言ったら武家の作法という形であるんですね。柏の葉っぱというのは下から芽が出るまで枯れても葉が落ちないんですね。よく椿の花がトンと落ちるから良くないということが武家社会の考え方でありました。

でも、今の時に柏というものをどう捉えたら良いのでしょうか。人が人になるには2年と6ヶ月かかると言いますよね。それは食べるところと呼吸するところがようやく分かれる時が2歳と6ヶ月くらいですね。ですから、それ以前は哺乳類に近くて、人類になる2歳6ヶ月くらいで、呼吸と食べるというところが分けられ完成すると人になると言われてます。白川では第10種と言って、呼吸を与えられた時から命だという捉え方があります。やっぱり、子ども一人で生きられるというところになるまでは動物は生まれたらすぐに立って、お乳を吸ったりしますし、そして早くの段階で親離れしていきますね。あるいは親が積極的に2歳くらいになれば、子どもを家族から離すということもしますね。

人間というのは一番知識を伝えなければいけないので、言語というものを学んでいくということがあって、なかなか伝えるということに時間がかかるし、一人立ちに時間がかかるわけですね。ですから、一人立ちして良い時まで、子どもをしっかりと育てるという決意というものが、柏の葉っぱの教訓なんですね。柏の葉っぱから芽が出るということは、人間としての働きが出来るということだと思うんですね。芽がしっかりと出てくるまでは、つまり人間が一人立ち出来るまでは、しっかりと子どもを親が育てるということの決意だと思うんですね。その決意が柏の葉の教えとするわけですね。お母さん、お父さんが包み守っていく。そういう意味合いとして、柏餅の葉っぱを考えたら良いのではないかなと思います。ですから、親の子どもを育てるという決意が、柏餅の意味ではないのかと思います。

ところで、奇数、偶数がどれが良いということではないです。柏手は全部偶数になっているのですが、奇数を2つ並べて偶数にしていく、相対にしていくということが日本の数では意味があると。数と言葉があった言語というのは、はっきり言って日本語だけですね。途中までのものは、満州語やモンゴル語がありますけれども、数と音があって「ひふみよいむなやこと」、言霊と言っている言語、50音は日本語だけですから、その数と日本語というものがまた繋がるような言語というものを中心として、これからはアナログとデジタルの両方を、今一番子どもたちに与えないといけないのではないでしょうか。

今は日本語だけではなく、翻訳機の発達によって、どんな言語も変換できるような時代になりましたけれども、日本語は世界に向かって様々な言語の概念がありますから、様々な言語を使って、それはデジタル機器を作る時、そしてそれが人工知能で、更にみんなが天才になる道が、いよいよ開けてきそうですので、これくらい勉強したということが、今に無くなるのは間近ではないかと思います。

◇芸術的心性の世界を育てる

だからこそ、心豊かな子どもに育てるということが大事なことなんですね。それは情緒を大事にするということですから、芸術や音楽を大切にするということですね。今は国がそこら辺のことを疎んじるような傾向がありますが、そこのところが一番大事なところではないのかと思っています。ですから、そのあたりを追求していく時は、親が子どもに対して、一番情操教育というものが欠かせないのではないのかなと思っています。それが多い方が将来の子どもたちの平等な知能、世界が広がってきた時、逆に比べられると言ったらおかしいですけれども、その時に一番大事なのは、情操と言いますか、芸術的心性の世界を少しでも開発していくことが、非常に大切になるのではないのかと思っています。

◇こどもの日は、子どもをしっかりと守っていくという父母の決意の日

知識というもの、言語が自由に使える時代がもうすぐ来ると思います。その方法を我々は開発しておりますけれども、そういうことによって情操と言いますか、感情を豊かにしていくということが伝統の中にありますから、その文化がありますから、それを学んで頂くということが非常に大事なところではないのかと思います。要するに、お父さん、お母さんが子どもたちを途中で挫折しないでしっかりと守り、導くという決意の日がこどもの日であって、子どもをただ優しくする日ではないと思っています。

私が一番年をとっていますので、説教じみたことを言ってお許し頂きたいのですけれども、どうかこの日を子どもをしっかりと守っていくという決意の日にして頂ければ、私としてはとても嬉しいです。

どうも今日はありがとうございました。