0134話:2017年06月08日

◇カルマヨーガ

丁度、奈良先生の漫画の古事記が出て、これから三巻揃うことになりました。先生はインドに長く留学して研究されていましたので、自分は4割くらいは、インド人ではないのか、インドの王様から転生したとも仰っていました。七沢君の直前の前世はこうだったとか、20歳くらいの時にそのようなことを言われました。

インド教というのは、主にヒンドゥー教のことなんですけれども、人生は学生期があって、仕事の時があって、奉仕の時があって、秘密の行をして森に住むという区分があるんですね。それは、ヨーガと呼ばれています。仕事のヨーガを、カルマヨーガと言っています。カルマと言うと、業のように言いますが、仕事が行なんですね。ですから、学びがあって、仕事があって、愛行があって、隠居するということがありますね。私のことを言うと、まだ全部やらなければいけない身ではあります(笑)。同時に全てやらないといけないので、大変なことになっていますが(笑)。

愛行が終わった後、秘行というものがあります。そうしますと、皆さんが朝、お祓いをあげているのは一種の秘行ですね。特殊な行ですね。秘行をやって、すぐに仕事の行にいくわけですね。もちろん、社会貢献をしなさいということをいつも言われますから、愛行にもあるのですけれども、やはり修行、あるいは自分の人生のその時その時で一番大事な時間を使っているわけですね。

◇仕事の場というものが、一つの宇宙

そういう仕事の中に生き生きとした生きがいを感じなさいということを言われますから、日本人はほとんど仕事がそのまま生きるということに繋がっているように思います。私はその典型を自分の叔父さんに見ました。たまたま戦前から、ビール会社でホップの醸造の仕事をしていたのですが、それで上りつめたのです。90を過ぎて、病院で臥せっていた時に話をしました。やはり自分のビール会社の心配をしているわけですね。この人は死ぬまでビール会社の仕事をしているように感じました。一生が、ほとんど仕事になるというかですね。それでもなお、仕事の中に生きがいを感じるということは、仕事の場というものが一つの宇宙だと思うんですよね。狭くても広くても宇宙ですね。仕事の宇宙があって、その中に自分の生きがいというか、自分自身が宇宙を創り出すような、そういう境地で生きているということですね。あるクリーニング店の人は、本当に洗って、綺麗にアイロンをかける中に宇宙を感じるということを聞いたことがあります。1枚のシャツの中に宇宙を感じられるということだと思います。

◇農業をやっている方は、自然と一体になる

Mさんのように農業をやっている方は、自然と一体になるということを感じることが出来るから、良い仕事だと思います。木火土金水の五行の中に、自分が入り込んで生きられるという仕事であり、行であるから非常に恵まれていますよね。

天皇陛下でさえ、御田植えをするわけですから、農業をやるということの中には、自由な世界があるということですね。今度はそれを組織というものの否定から、あるいは社会から出るという形として農業を捉えるとどうでしょうか。一番大切な形はそこになるんですけれども、そういう時に、農業は家業になりやすいということがあります。それを事業としてやるのは難しいということがあります。今、日本では農業法人としてやるのが難しいというのは、その辺りにあると思います。修行上の特徴みたいなものがあって、天津金木とか、音図で言うと、組織化をはからないということを、自分のクセのようになると、なかなか難しくなる。農業というものの良い面と、全てが平等な世界に見えるので、全てが二項関係、私と自然、私と農ということでいけるから有利な面が多いですね。

その面では、自分の宇宙を作りやすいですね。自然の中にその関係を作るわけですから、やりやすいということがあります。それをみんなと一緒に作るということが、農業にまつわる儀礼が、そういうところを目指しているということを感じて頂くと良いのかなと思いました。

◇自分の原罪を贖うような意味で仕事を捉えない

皆さんが、仕事というものが苦しいような、一神教の中にあるような自分の罪を贖う為の苦役としての仕事、自分の原罪を贖うような意味で仕事を捉えないことが大事なのではないのかと。アメリカの人は40歳でリタイアして、悠々自適な生活が理想というようなことをよく言っていましたが、仕事を苦役と捉えて、一生遊んでいるのがいいと捉えていたので、随分人生の真の喜びを感じられないから、損をしているのではないのかと思いました。

◇ネット。全ての創造が始まる装置

ネットの仕事は、一番恵まれていますね。全ての創造が、ある面ではネットから始まるということですね。自分からネットを構築できるというホワイトホールとブラックホールが全てあるようなものですね。非常にネットというものの時代になったということは、逆に全ての創造が始まる装置みたいなものですね。毎日、どこかで関われるということですね。スマホもそうなんですよね。

そういう世界に変わりつつある時に、農業とネット、同じ創造物が生み出されるというところをしっかりと掴むということが、仕事ということの一つの宇宙を掴むことにもなります。特にソフトウェアに携わることが出来るということは、先端の部分で仕事としても行としても掴めるものがあります。

◇仕事の中に神の働きを感じる

自分が宇宙を見出すものとしての仕事ということに思考が移れるようになって頂けると、自分の生きていることが有意義であると感じて、その中から死ぬということですから、その中から大事なものを掴んでもらえればと思います。それが神を掴むということに繋がるということですね。仕事の中に神の働きを感じるというかね。仕事の中に神が働いているということを自覚の中で掴むということが仕事の中の行、すなわち、カルマ・ヨーガではないのかと思いました。

そういうことを本日は感じました。ありがとうございました。